アドリブソロについて-2

さて、前回の続きを書いてみたいと思います。




①練習に練習を重ねたフレーズを、コード進行に対して当てはめていくタイプ。

この方法だと、厳密にはアドリブソロとは言えないかもしれません。

しかし、どんなフレーズを仕込むのかで、個性を作ることは可能だと思います。


この方式をとる場合の利点を考えてみましょう。


まず、常に完成度の高い演奏ができる、という事です。
その時の体調や気分などに影響されにくく、安定した演奏が望めます。

しかし、そこに至る道はひたすら努力の道です。
本番で、練習したフレーズをちゃんとコード進行に合わせて演奏できるようになるには、特に複雑なフレーズになると血のにじむような練習が必要でしょう。


とはいえ、その努力さえ積み上げていけば、だれでもそれなりのレベルまでは行ける、という事でもあります。


先人の偉大なプレイヤーのフレーズを仕込むと、それだけでジャズっぽくなり、格好良い演奏がしやすくなります。

ところが、そこから抜け出すのは大変になります。


今の新しいミュージシャンはオリジナルのフレーズを仕込んでいる人が増えてきていると思います。

その場合は、リスナーがイメージするジャズとは離れて行くので、良くも悪くも新しい演奏になります。





この方法は広く採用されているので、完璧かと思いきや、やはり欠点も存在します。



一つは、次はどうなっちゃうんだろう、みたいなワクワク感が無くなってしまいます。

また、アドリブソロの最中に他の楽器とシンクロして、一緒に作り上げていくことが難しいです。

それと個人的には、事前に作曲しているのと近くなってくるので、クラシックと大して変わらない、という感じもします。



ビバップや、現代の複雑なコード進行の曲を演奏する場合は、この方式をある程度採用しないとついていけません。

なぜなら、人間の思考のスピード、またそれを楽器に伝える反射神経の速度には限界があるからです。

この点は②の演奏にもからんでくる要素です。




この①の方式を採用している代表格は、マイケル・ブレッカーですね。
他ボブ・バーク、ボブ・ミンツァーなど、フュージョン畑のプレイヤーが多いでしょうか。

また、ジョン・コルトレーンもこの部類に入るのではないか、と思います。
彼が努力の人、と言われる所以です。

しかし、いかに事前に仕込もうが、芸術的に素晴らしい演奏をすることが可能ですし、コルトレーンのように精神性を加える事ができます。




次回は②の演奏を考えてみましょう。

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